採用にも好循環が ー 映像クリエイティブを資産として活用したクアンドの実例【後編】

2024/9/27
採用にも好循環が ー 映像クリエイティブを資産として活用したクアンドの実例【後編】
📌 課題

ITスタートアップが歴史ある建設系企業を買収するという前例の少ないM&A。「どう伝えるか」という課題に直面しました。

✨ 成果

「M&Aの思いや意義をどう伝えるか」という問いから出発し、テキストや写真では伝えきれない部分を映像で補完。地域産業・レガシー産業のアップデートというテーマを示していたように思います。

業界内への"説明クリエイティブ"として

想定外の効果として、同業他社からの反応が多数寄せられました。業界内ではM&Aに対する抵抗感や先入観が少なくありませんが、映像が親会社側の人柄や姿勢を丁寧に映し出したことで、受け止め方が変わったといいます。
「『買収には抵抗があったけれど、この関係なら良さそうですね』という声を多くいただきました。社内外の安心感や信頼につながったのだと思います。」
この外部からのポジティブな声は、当事者にとっても支えになりました。新家さんは、M&Aという節目が持つ心理的負荷をこう語ります。
「不安もあったのですが、外の方々から『良かったですね』と声をかけてもらえて、多田社長の表情にも安堵が見えたのが印象的でした。少し照れくささもあったようですが(笑)」
安堵の表情を見せる南都技研多田代表
安堵の表情を見せる南都技研多田代表

採用にも広がる効果

映像はPRにとどまらず、採用にも良い影響を生みました。直近では、有資格の技術者を1名採用。面接前に動画を見た候補者からは「雰囲気が良さそうで、期待感を持てたので応募した」という声が複数寄せられたそうです。文章だけでは伝わり切らない組織の空気感や価値観が、動画によって伝播したかたちです。
「採用文脈でも動画を活用させていただいています。実際、『動画を見て受けてみたいと思った』という方がいらっしゃいました。文面以上に伝わるものがあると実感しています。」(新家)

クリエイティブを社内で通すということ

クリエイティブ制作に踏み切るかどうか——最初に立ちはだかるのは、やはりコストと工数の壁です。撮影だけでなく、編集や整音まで含めると時間も費用もかかります。笹木さんは率直にこう語ります。
「特に動画は、撮影に加えて編集やスタジオでの音入れまで必要です。クオリティを高めようとすると、それなりの投資が要ると意識しています。」
もう一つの壁は、費用対効果の不確実性です。クリエイティブの価値は定量化が難しく、決裁のゴーサインまで心理的なハードルが高くなりがちです。新家さんもその難しさを認めます。
「効果を数字で読み切るのは難しいと思います。結果的には良い反応が多かったのですが、着手前にそこまで予測できたかというと簡単ではありませんでした。」
それでも今回、社内を動かした決め手は明確でした。ひとつは記録として残す価値です。前例の少ないM&Aを、一次情報として丁寧に残しておく必要性がある、という考え。もうひとつは伝達力。南都技研の皆さんに「どんな会社と、どんな意志で一緒になるのか」を、第三者の視点で切り取られた映像だからこそ、言葉以上に伝わりやすくなるという確信です。
「口で説明しても伝わりきらない部分を、第三者の目で撮った素材が補ってくれました。クアンドにとっても、南都技研の社員のみなさんにもしっかり届くものになったと思います。」(笹木)
限られた時間と環境でハイクオリティな撮影を実施
限られた時間と環境でハイクオリティな撮影を実施
では、なぜ自分たちでスマホで撮影するのではなくプロに依頼するのか。そこには設計の精度と表現の解像度の差があります。事前の構成案やコンテに基づくカメラワーク、現場進行のリード、十分な素材量、光と音の作り方——そうした積み重ねが、表情やニュアンスを逃さない「伝わりやすい画」につながりやすいと感じています。
「今はスマホでも撮れますが、プロの視点での"切り取り"はやはり我々ではできない。画角やシーン設計、当日の進行の段取りまで、個人撮影では再現が難しいと感じます。」(笹木)
結果として、映像は社内の理解と安心感を高め、M&Aの方向性を共有するための土台になりました。さらに、採用や同業他社への説明という場面でも力を発揮し、「雰囲気が良さそうで応募した」「買収への抵抗感が薄れた」といった声が集まりました。数字に置き換えにくい価値ではありますが、プロジェクトの節目にふさわしい記録性と説明責任、そして人の心に届く納得感をもたらした——この事実は、社内説得のひとつの答えになったのだと思います。

さいごに

「なぜクリエイティブを作るのか?」――その問いにきちんと答えられるかどうかが、成果を左右しそうです。
M&Aという節目で映像制作に取り組んだクアンドと南都技研のケースは、クリエイティブの"目的先行"がどれほど重要だったのかを気づきを与えてくれる事例でした。

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※本記事は株式会社クアンドと株式会社南都技研へのインタビューをもとに構成しています

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