📌 課題
手動でのデプロイ作業により、ヒューマンエラーのリスクと作業時間の負荷が課題でした。
✨ 成果
Claude Codeを活用した半自動デプロイシステムにより、作業時間を90%短縮(30分→3分)。AIが安全確認とルール準拠を自動実行し、ヒューマンエラーがほぼゼロに。
「AIを業務に活用したいけど、何から始めれば...」
こんにちは、スペースカウボーイです🤠
「AIで業務効率化」「DXで生産性向上」——そんな言葉を聞かない日はありませんが、実際に導入しようとすると——
「で、具体的に何をすればいいの?」 「本当にうちの業務に使えるの?」 「費用対効果はあるの?」
そんな疑問が湧いてきませんか?
私たちも同じでした。クリエイティブ制作会社として、「AIをどう活用するか」という課題を抱いていました。
そこで今回は、実際に自社で導入したAIエージェント「Claude Code」を使った半自動デプロイシステムの事例をご紹介します。「小さく始めて大きな効果を得る」AI活用の参考になれば幸いです。
株式会社スペースカウボーイの開発体制
福岡を拠点とするクリエイティブ制作会社。サイトの開発・運用を通じて、効率的な制作フローの確立を目指しています。
開発メンバーは少数のため、「属人化を避け、誰でも安全にデプロイできる仕組み」が重要な課題でした。
手動デプロイで直面していた課題
作業の複雑さとヒューマンエラー
従来のデプロイフローは、変更内容をコミットして適切なメッセージを作成し、ブランチに安全なオプションでプッシュした後、Pull Requestのタイトルと本文を記述してマージ後のブランチ管理まで行う、すべて手動の作業でした。
一見シンプルに思えるこの流れですが、実際には毎回20-30分もかかってしまいます。しかも、コミットメッセージの書き方が人によってバラバラになったり、プッシュ時のオプションを間違えてしまったり、Pull Request作成時に必要な情報を書き忘れたり、そもそもどのブランチに作業すべきかがわからなくなったりと、様々な問題が頻発していました。
特に困ったのは、複数人で開発する際の判断ミスです。「今回の変更はどのブランチにプッシュすべきなのか」「コミットメッセージはどういう形式で書けばいいのか」といった、一つひとつは小さな判断の積み重ねが、結果的に修正作業を発生させてしまうのです。
「正直、手順を覚えるだけで精一杯。クリエイティブ制作に集中したいのに...」
Claude Codeとの出会い
転機となったのは、AnthropicのClaude Codeとの出会いでした。これはAIがコードレビューから自動化まで対応してくれる開発支援ツールです。
最初は半信半疑でしたが、実際に使ってみると——
- 自然言語での指示でコマンド生成
- プロジェクトの文脈を理解した適切な提案
- 安全性チェックの自動実行
これらの機能により、「AIが人の代わりに考えて、安全に実行してくれる」可能性を実感しました。
半自動デプロイシステムの構築
ステップ1: ルールの明文化
まず、デプロイに関するルールを
DEVELOPMENT.mdに明文化しました:- ブランチ戦略(main/develop/feature)
- コミットメッセージの規則
- PR作成時の必須項目
- 安全なプッシュ方法
AIが参照できる形でルールを整備することがポイントでした
ステップ2: 半自動スクリプトの作成
Claude Codeと対話しながら、以下のスクリプトを作成しました。このコードをそのままコピーしてAIエージェントに貼り付ければ、適切な値を設定して実行してくれます:
# ====== コミット情報(必要に応じて書き換え) ======
# COMMIT_TITLE は 1行で簡潔に、Conventional Commits 準拠で記載すること
# 例: "feat: ステージング環境用のGitHub Actionsデプロイ設定を追加"
COMMIT_TITLE="feat: <この変更の要約を記載>"
# COMMIT_BODY は ## Summary 見出しの下に、3〜4行以内の箇条書きで変更点を整理すること
# 各行は動詞から始める(例: 追加する / 修正する / 改善する)
COMMIT_BODY="## Summary
- <1行目: 変更点の概要>
- <2行目: 具体的な対応内容>
- <3行目: 改善点や目的>"
# ====== PR情報(通常はコミットと同じでOK) ======
PR_TITLE="$COMMIT_TITLE"
PR_BODY="$COMMIT_BODY"
# ====== ブランチ名(機能追加なら feature/〜、修正なら fix/〜 など) ======
BRANCH_NAME="feature/<ブランチ名を指定>"
# ====== 作業手順 ======
# 変更をステージング
git add .
# コミットを作成
git commit -m "$COMMIT_TITLE" -m "$COMMIT_BODY"
# 対象ブランチに安全にプッシュ
git push origin $BRANCH_NAME --force-with-lease
# Pull Request を作成(番号は GitHub 側で自動採番)
gh pr create --title "$PR_TITLE" --body "$PR_BODY" --base develop
bash
重要なのは、AIが変更内容を理解して適切な値を設定してくれる点です。
ステップ3: AIによる自動チェック
Claude Codeの素晴らしいところは、現在のブランチと対象ブランチの妥当性を自動で確認してくれることです。さらに、変更内容を分析して適切なコミットメッセージを生成し、安全なプッシュのために
--force-with-leaseオプションも自動で適用してくれます。Pull Requestのタイトルと本文も、変更内容に応じて最適化して作成してくれるのです。「人が考えなくても、AIが最適な手順を判断してくれる」
劇的な効率化の成果
作業時間の大幅短縮
従来は手順を確認してからコマンドを入力し、ミスがあれば修正作業まで含めて30分もかかっていました。しかし現在は、AIに指示して確認・実行するだけでわずか3分で完了します。
つまり、90%の時間短縮を実現できたのです。
ヒューマンエラーの削減
以前は人によってコミットメッセージの書き方がバラバラでしたが、今では統一された形式で自動生成されます。ブランチの選択も適切に判断してくれますし、安全なプッシュオプションも自動で設定され、Pull Requestの情報も漏れなく完全に作成されます。
AIが事前に設定したルールに沿って自動判断してくれるため、人的ミスがほぼゼロになりました。
学習コストの軽減
新しいメンバーでも、Claude Codeに「デプロイしたい」と伝えるだけで、AIが適切な手順を案内してくれます。
「Git初心者でも、AIのサポートで安全にデプロイできるように」
AIによる業務効率化の本質
今回の取り組みで気づいたのは、AIの役割の明確化の重要性です。
AIが得意なこと
AIが最も力を発揮するのは、複雑な手順を正確に記憶して適用することです。人間だと忘れてしまったり間違えてしまったりする細かいルールも、AIなら毎回確実に実行してくれます。さらに、プロジェクトの状況を理解して適切な判断を下し、毎回同じ品質で作業を完了してくれる一貫性も大きな魅力です。
人が担うべきこと
一方で人間が重要な役割を果たすのは、何を達成したいかという目的の設定です。また、AIが従うべき基準やルールを策定することや、最終的な結果の妥当性をチェックすることも、人間にしかできない大切な仕事です。
「AIが裏で自動的に確認・反映してくれることで、人はより創造的な仕事に集中できる」
投資対効果と応用可能性
成果と費用対効果
実際にかかったコストは、Claude Codeの利用料月額約20ドルと初期設定8時間の工数でした。月間20回のデプロイ作業で1回あたり27分短縮により月9時間の工数削減を実現。ヒューマンエラーの修正作業も月2-3時間削減でき、初月で投資を回収できました。
他社への応用と成功のポイント
この半自動化システムは、GitやGitHub、VSCodeといった既存の標準ツールだけで完結するため特別な新システム導入は不要です。成功のポイントはAIが参照できる形で業務手順を明文化すること。完璧を求めず改善できる部分から小さくスタートし、段階的に拡大していく戦略が効果的です。
さいごに — AIは「相棒」として
「AIで業務効率化」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、実際は「デジタル相棒を得る」感覚に近いです。
今回のデプロイ自動化で実感したのは——
✅ AIが裏で自動的に確認・反映してくれる安心感
✅ 人が手作業で更新しなくても、AIがルールに沿って安全に進める効率性
✅ 結果的に、ヒューマンエラーが減り、作業スピードが上がる成果
「AIを活用したいけど、どこから始めれば...」とお悩みの企業様。まずは身近な繰り返し作業から、AIとの協業を試してみてはいかがでしょうか。
業務効率化やAI導入でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。実際の導入経験をもとに、現実的なアプローチをご提案いたします。


